今やスマホは誰でも知ってると思いますが、みなさんスマボはご存知ですか?
「スマートボール」と聞けば、遠い昔、どこかの縁日でプレイしたことがある、という人もいるかもしれませんが、最近はほとんど見かけなくなってしまいましたよね。
そんな昔懐かしいスマボが、今でも現役バリバリで活躍している店がある、という話を聞いて行ってみました群馬県の四万温泉!
そんな昭和レトロ感あふれるお店で僕を待っていたのは、スマートボールと人情あふれる伝説の女将だったのです。
世の塵(ちり)洗う、四万温泉。
少年時代を群馬で過ごした男子は、「四万温泉」と聞くとちょっと心の奥がムズムズするようなエロティックな気分になります。
群馬には、県民誰もがすべての読み札を暗記している、というスーパー郷土遊戯「上毛かるた」というのがあるのですが、この「よ」の札が四万温泉なのです。
ご理解いただけますか?
少年たちがこの「よ」を捕りたいんだけど「うー、恥ずかしくって俺、こんな札とれねーよ」みたいになっちゃってたのが。
まあ今でこそ地球上のすべての男がうらやむような百戦錬磨の私ですが、かつてはそんなチェリーな時期もあった、ということをお伝えし、世の中の男子を勇気づけておこうと思った次第です、はい。
さて本題に入りましょう。
みなさん四万温泉はご存知ですか?
四万温泉は群馬県の北西部にある温泉で、四万もの病に効くと言われる名湯。
関東近郊では最も湯治場の雰囲気をよく残した温泉街、とも言われています。
四万温泉には日本最古の木造湯宿建築で、あの有名なアニメ「千と千尋の神隠し」の湯宿のモデルのひとつともいわれる群馬県指定文化財「積善館本館」など、情緒あふれる建物や温泉街が残っています。
素晴らしいですね。泊まってないけど。
この積善館本館の前から大きなホテルの建物の間を縫うように延びる小さな道が「落合通り」。
この四万温泉でもっともディープな雰囲気を残した通りの一画に、「スマートボール/パチンコ 柳屋遊技場」 という看板が燦然と輝いています。
50年の歴史を持つスマートボール場「柳屋遊技場」
柳屋遊技場。
そう、ここは50年の歴史を持ち、数々の著名人に愛される昔懐かしい遊技場なのです。
主力の機種はスマートボール。
スマホじゃないですよ、スマボですよ。
やったことありますか、スマボ?
スマートボールが流行したのは昭和30年代で、現在は絶滅の危機にあり、全国の温泉街でも残っているのは数軒のみ。 かつては四万温泉にも何軒もの遊技場があったそうですが、今はこの柳屋が四万温泉で唯一の遊技場です。
さて、このスマートボールですが、柳屋遊技場では1回500円で50個の玉が出てきます。この玉を発射レバーを引いて一つずつゆっくり弾き出すだけなので、遊び方は至って簡単。
昔のパチンコ同様、「5」だの「15」だのという穴に入るとその玉数がじゃらじゃらと出てくるのです。穴に玉を入れまくってたくさん玉がたまると景品に交換できますが、残念ながらお金に変えることはできません。
柳屋にはスマートボールのほか、パチンコ台もあります。
手打ち台ですよ。
今までだいたい全国300都市で旅打ちをしてきましたが、手打ち台に出会ったのは初めてです!
柳屋遊技場のマドンナ「フジ子ちゃん」
すでにかなりいい感じな柳屋ですが、なんといってもこのお店のホントの魅力は名物女将のフジ子ちゃん。
10代の頃にこのお店にやってきて以来50年、今はオーナーとして一人で切り盛りする女将の名前は「二二子(ふじこ)」さんですが、その気さくな人柄から、親しみを込めて「フジコちゃん」と呼ばれています。
「ひとつずつゆっくり打ってね」
「あんまり狙いすぎちゃダメよ、入れようとしない方が意外といいんだからね」
狙いすぎちゃダメ・・・
うーん、フジ子ちゃんが言うとなんだか人生の教訓みたいに聞こえるなー。
「たくさん遊べるようにしてあるからね、ゆっくり1個1個打つんだよ」
懐かしいヒット曲が流れる店内にスマートボールが所狭しとばかりに並び、ガラスの玉がぶつかりあう音がジャラジャラと響いています。
この時間の流れ、なんとゆるやかなことでしょう。
レトロな曲が流れる中、のーんびりスマートボール。
おーいいな、柳屋サイコー、フジコちゃんサイコー!
とか思って呑気にスマボ打ってたら、なんだかじゃんじゃん玉が増えてきてなかなか終わらないじゃん。
さすが俺、全国300都市でパチンコ屋に貯金してるだけのことはある。
隣のおねーさんの玉がなくなっちゃっても、僕の玉は一向に減りません。
いやー、今日のこのあとの日程考えると、ホントはあんまり時間ないんだよね。
ということで最後の方はガンガン突きまくって、アラフィフらしくない若々しいプレイに走ってしまいました。
フジ子ちゃんのホスピタリティ、サイコーだぜ!
フジ子ちゃん、店内のお客さんにスマボの遊び方を教えていたと思ったら、いきなりお菓子のかりんとうが出てきます。
「お茶も入れたから飲んでって!」
なんだろう、この田舎のばーちゃんちに遊びに来た感!
この柳屋遊技場、テレビや雑誌、ウェブなど多くのメディアで取り上げられていますが、それはこのお店の希少性はもちろんのこと、フジコちゃんのキャラクターも大きく関係しているに違いありません。
店内には著名人の写真やサインもびっしり。
とにかく気さくで話しやすいので、スマートボールが終わってもお茶を飲みながらついつい長居をしちゃいそう。
というか、こんなばーちゃんがいたら、また四万温泉に来たくなっちゃうよ!
このお店がなくなってしまうと、四万温泉の灯が消えてしまうので、いつまでも頑張ってほしい、とまわりの旅館の女将からも懇願されている、というのもうなづけますね。
本当に、元気でいつまでも続けてほしいですね。
<2017年9月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
四万温泉 柳屋遊技場の基本情報
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万4145
電話:0279-64-2520
アクセス:関越道渋川伊香保ICより四万温泉方面へ50分/四万温泉バス停から徒歩3分
営業時間:10:00-18:00
定休日:木曜日(ただし、祝日の場合は営業)
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