北海道の石北本線は旭川から北見を経て網走までを結ぶ、札幌方面から道東へと向かう大動脈。
しかしこの石北本線、乗るたびに人が少なくなっているのを感じます。
夏の繁忙期には多少賑わうときもあるのかもしれませんが、普段は指定席も自由席もガラガラなことが多く、最近は乗るたびに石北本線のこの先の運命をふと考えてしまいます。
たったひとりの女子高生駅「旧白滝駅」
数年前、北海道に「たった一人の女子高生のための駅」というニュースがあったのをご存知ですか?
それは石北本線にあった「旧白滝駅」。
もともとこの旧白滝駅はJR北海道の合理化の一環として閉鎖を予定していたのですが、毎日この駅から最寄り(といっても30キロ以上先)の遠軽高校まで通う女子高生が1人だけいることが分かり、閉鎖しないことにしたというもの。
以来、1日4本の列車はその女子高生のためだけに毎日この駅に停車していましたが、女子高生が卒業したため、駅はその日を待って閉鎖された、というお話です。
これ、すごくいい話で、僕も見た時は感動したんだけど、冷静に考えてみると1日1人のためだけの駅って、信じられますか?
でも北海道にはこれに近い駅がまだまだたくさんあるんだと思います。
石北本線は旭川と網走を結ぶJR北海道の大幹線なので、僕も2年に一度くらいは乗る機会があるのですが、年々その利用者が減っているのを感じます。
これは2017年の秋、網走発札幌行きの特急「オホーツク2号」。
網走発は5時53分と早いので、自由席でもガラガラでいいなーと最初のうちは思っていたのですが、石北線最大都市の北見を過ぎてもあまり乗客が増えません。
遠軽を過ぎて石北峠の長い山越え区間に入ると、車内はこの状態。
残念ながら、これが北海道の現実です。
遠軽駅から上川駅の間の80キロの区間には、途中に駅が3つしかありません。旧白滝駅をはじめ、この区間に数多くあった駅はほとんどが廃止されてしまいました。
となりの駅まで平均すると約20キロ、それだけ何もない区間を走り続けるということなのです。
だから頑張れ、JR北海道、と思うけど、正直、頑張れないかもしれません。
僕は国鉄の末期時代、大学生として北海道に住んでいたので、天北線や士幌線、湧網線、胆振線といった魅力的なローカル線が次々と廃止されていくのを目の当たりにしました。もしもう一度、1週間くらい昔に戻れるのならば、まっさきに北海道に飛んで行って、これらのローカル線に乗るだろうな、というくらい今でも残念に思っています。
でも、もしかするとあの時と同じようなことが、この先に迫っているかもしれないのです。
「前は網走とか稚内まで列車走ってたよな」というふうに回想する時代が来るかもしれないなんて、信じられませんが。
北見工大鉄道研究会の車内販売
そんな感じで乗るたびに心配になってしまう石北本線ですが、少しだけ希望が見えるようなこともありました。
2020年の冬、僕は同じくオホーツク2号で早朝の網走から札幌へと向かっていました。
前日夜はずいぶん冷え込んだらしく、沿線の北見の前夜の最低気温はマイナス30度。
何もかもが一瞬で凍てつくような朝だったからでしょうか、こんなに美しい冬の鉄道車窓を見るのは初めてでした。
沿線の最大都市、北見でちょっと途中下車して、次の特急「大雪号」に乗り込むと、ちょっとユニークな人たちがあらわれました。
彼らは北見工業大学鉄道研究会のメンバー。
石北本線の存続運動を中心的な活動としている「石北沿線ふるさとネットワーク」という団体が週末などに行っている、特急列車内での地域産品の車内販売のお手伝いをしているのだそうです。
もちろん買いましたよ!(必要以上に買った感あります)
それは石北本線、頑張れ、という思いと、北見工大頑張れ、という思いもあったからなのです。
実は僕が北見で途中下車したのは、北見工大へと行っていたのです。
大学時代の友達の女の子が、かつて北見に住んでいました。
彼女の父親は北見工大の先生だったため、小学校までここで育った彼女の生活圏は、この大学の敷地内だったそうです。
彼女に誘われて、僕は彼女と一緒に一度だけ北見に来たことがありました。
今はもうそのときのことはほとんど忘れてしまいましたが、この野球場の裏の、白樺沿いの道を散歩したことは覚えています。
大学を卒業してから北見工大には1度来たことがあるので、この時は2度目でしたが、北見に来るとなぜかこの白樺みちのことを思い出します。
そんな北見に列車が来なくなるなんて信じられません。
だから頑張れ、石北本線!
<2017年10月/2020年2月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
石北本線/北見・網走への旅
コメント
北見工大鉄道研究会が手伝っている車内販売は先日偶然に出会いました。自分は何も知らずに、丸瀬布から特急大雪に乗車しました。その列車内で彼らの車内販売に出会いました。自分も大学時代に鉄道研究会で活動していたので、その親近感もあり、おつまみ2点を買い求めました。ホタテの燻製とオホーツク産のカラフトマスのピリ辛の乾物がとても美味しかったです。お土産にもって帰りましたが、早速それらをおともに一杯やりました。車窓を思い出しながら。
コロナ前の話でしたが、まだ変わらずあの車内販売あるんですね。いつまでも続けてほしいですね。