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宮崎県の五ヶ瀬町と言えば、種田山頭火に「分け入っても分け入っても青い山」とうたわれた、肥後と日向の国境にある山深い里。以前その国境の日向往還をひとりで歩いてみたら、道に迷ってとんでもない目にあったことがあるくらい山の中です。
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ところが僕の会社の後輩が、仕事を辞めて家族も東京に残し、なぜか単身でこの五ヶ瀬町に乗り込んでしまったのです。彼には常々「副業いいぞ」とか「ライターおいしいぞ」とか話してたので、なんだか僕がその気にさせちゃったような気がして、実はその行く末をちょっと心配していたのです。
そんな彼から突然メッセージが来たのは今年の夏のことでした。そして僕は彼に会いに五ヶ瀬に行くことになったのです。
五ヶ瀬の「にしちゃん」
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風祭さん、久しぶりです!実は今度「五ヶ瀬町自然マイスター」っての作ったんですけど、応募してもらえませんか?
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は?自然マイスター?何それ、おいしいの?
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僕もようやく落ち着いたんでちょっと新しい活動はじめたんですよ、とにかく一度来てくださいよ!
そんなわけで突然行くことになったのです、宮崎の五ヶ瀬町に。
五ヶ瀬町は宮崎と熊本との県境の町ですが、県都宮崎市まで2時間半かかるのに対し、隣県の熊本市までは約1時間半で着くため、結びつきは熊本の方が強いかもしれません。
そんなわけで今回の待ち合わせも、通潤橋で有名な熊本県の山都町。
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熊本市内から路線バスでここまでやってきた僕を出迎えてくれた彼の車に乗って、いざ、五ヶ瀬町へと向かいます。
五ヶ瀬町と言っても彼がメインに活動しているのは町の南部、標高600メートルの高地に広がる鞍岡(くらおか)地区(合併前の「旧鞍岡(くらおか)村」)。
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廃校となった町の中学校の校舎が彼の職場です。
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彼の名前は「にしちゃん」。何の縁もない場所に一人で乗り込んでいったのですが、今では町(村)でも老若男女みんなにそう呼ばれています。
彼は福岡の出身で、若い頃は博多の親不孝通りでやんちゃし放題だったと聞いています。それなのに「にしちゃん」はないだろう、にしちゃんは・・・(もちろん会社ではだれもそんな呼び方はしてませんでした笑)
村の人気もの、にしちゃん
にしちゃんの職場、旧鞍岡中学校は、現在祇園テラス「鞍楽(くらら)」という名の住民センターのような場所になっているため、校舎内はまだ現役時代と同じようにきれいなまま。
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にしちゃんはここで主に「地域住民盛り上げ係」的な仕事をしているんだそうです。
こんなサイトはじめたり
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you tubeチャンネルも作っちゃったらしいのです。
にしちゃんと一緒に村を車で通ると、がきんちょが「わーーーー」と寄ってきて車を取り囲み
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にしちゃん、どこいくのーーーーー???
とか、すれ違うマダムから
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今度いつお食事誘ってくださるの💛
もとい(これは妄想)、
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今度いつご飯食べに来るんかの?
とか大人気!ここに来てまだ半年ちょっとなのになかなかすごいぞ、にしちゃん。。。
五ヶ瀬の誇る名所めぐり
そんなわけでまずは五ケ瀬の誇る観光スポットめぐりに案内してもらいます。
最初に訪れたのは五ケ瀬の誇る名刹、西栄山浄専寺。
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春には境内にある樹齢およそ300年のしだれ桜が咲き誇るのですが、今はまだちょっと紅葉にも早いかな。ま、品のあるお寺さんではありますね、はい。
続いて祇園神社。
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創建年代は不明ですが、社伝によると貞観11年(869年)に山城国八坂郷の祇園神社を勧請した(分霊【わけみたま】を迎えて祀った)といわれているようですが、にしちゃん説によると
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実はこっちの祇園神社のほうが京都の祇園神社に分霊したんじゃないかと思ってます・・・
えええ、にしちゃん、いくら五ヶ瀬をメジャーにしたいからって、それは大胆すぎる仮説!
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だって祇園神社といえばスサノオですからね、スサノオがいたのはこのすぐ先の高千穂ですから!
ま、言われてみればなんかちょっとパワーあるような気はしますね、はい。
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続いて向かったのが白糸の滝、じゃなかった「白滝(しらたき)」。
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紅葉にはまだちょっと早かったみたいですが、ここは紅葉名所として知られていて、シーズン中はよく紅葉の状況をきかれるらしいのですが、毎日見に来るのも大変なのでインスタのキャンペーンをやって、それで最新情報を更新しているんだそうです。
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「#ごかせ紅葉2021」をつけて投稿すれば、なんと毎日1名に「五ヶ瀬の釜炒り茶」がもらえるんだそうですが、
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まだ誰もやってないので、今ならやればほぼもらえますよ、やってみてください!
わかった、1週間くらい続けてお茶もらったるわ!
ここがかつては渋谷と肩を並べるほどにぎわってたという鞍岡地区のメインストリート(地元のばーちゃん説)。
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このほかにもいくつかの名所を回り、最後に案内されたのが、ココ。
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は、ここはなんですか?
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今度引っ越しする私の家です!
知るかよ!
でもこの家、村で空き屋になっていたものを家主さんがリフォームしてくれて、にしちゃんが住めるようにしてくれたんだそうです。
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けっこう立派な一軒家ですよ。ふつうにエアビーとかで民泊施設にできそう。
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そんなこんなでこの日のホテルに送ってもらいます。
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おおお、なかなかいい感じのログハウスふうホテルじゃないっすか!
部屋の中もちょっとログハウスっぽい離れ感があっていいぞ!女子としっぽりおこもりするにはよさそう!
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今日は私もここに泊まりますからね、徹底的に呑みましょう!
えええええ、女子としっぽりのほうがいい・・・んだけど・・・
五ヶ瀬町の夜神楽
夕食はホテル別棟の囲炉裏のある会場でヤマメづくし!
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なんでも、このホテルのオーナーは昭和40年ころ、天然やまめの人工孵化に成功し、やまめの循環養殖を確立した方だったのです。
そのオーナーが、この秋本 治(はじめ)さん.
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なんでこんな格好をしていたかというと、秋本さんは五ヶ瀬に伝わる神楽を保存する活動もしていて、この日はたまたまホテルでその公演が行われる日だったのです(秋本さんにはさらに五ヶ瀬自然マイスターの活動で翌日とてもお世話になります)。
神楽と言えばこのあたりでは高千穂が有名ですが、高千穂と隣接するこの五ヶ瀬、さらにその隣の椎葉村でも神楽が残されています。
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五ヶ瀬の中にも地域によっていくつかの神楽があって、この鞍岡地区に伝わるのは「鞍岡祇園神楽」。今は祇園神社の夏や秋の例大祭で披露されています。
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五ヶ瀬の神楽は高千穂で舞われている岩戸神楽に近いのですが、鞍岡の祇園神楽は一部伊勢・出雲系統のものも含まれていると言われています。僕には違いがわかりませんが。
でも「売受賣(鈿女/うずめ)の舞」とか「舞開き」の巻は昔、高千穂で見たおぼえがありました。
鞍岡の祇園神楽の特徴は「舞開き」の演舞で、天の岩屋から天照皇大神を手力男命が手を取ってお迎えする部分だそうです。
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この天照皇大神役は、会場の中にいる子供が選ばれるようで、この日も3世代で来ていた家族連れの男の子が選ばれてその役を果たしていました(ばーちゃんそれみて感動して泣いてました)。
この日舞った祇園神楽保存会のメンバーはみんな地元のシニア(一部ミドルもいるか?)って感じの方々。
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鞍岡地区全体でも人口はもう1000人を割っているようなので、こうした伝統行事を残していくのも大変なことだと思います。
よく見ると、華麗に舞っているおじさんと、隣の人をチラ見しながら、それでもときどき間違えちゃったりしそうになってるおじさんが混在しています。
それでもこうしたおじさんたちが頑張って舞っているのって素晴らしいことですよね。
こうして楽しい1日が終わったのですが、結局五ヶ瀬町自然マイスターってなんだったんだ?
ということで後編へ続きます。 ※最新の情報は公式サイト等でご確認ください
五ヶ瀬町への旅
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